EVに欠かせないeAxle(eアクスル)とは?仕組みやメリットを解説

電気自動車(EV)の普及に「eAxle(eアクスル)」は欠かせない技術です。この新しい技術は自動車製造に多くのメリットをもたらしています。一方、開発競争や価格競争など、これから解決すべき課題や問題点もあります。

本記事では、eアクスルの概要や仕組み、メリットや課題、これからのビジネスチャンスについて解説します。
 

eAxle(eアクスル)とは?

eAxle(eアクスル)とは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の次世代駆動ユニットとして注目を集めている革新的な技術です。この装置は、モーター、インバーター、減速機(ギア)を一体化したシステムで、EVの心臓部とも言えるパワートレインの主要部品を統合しています。

従来の電動車では、これらの部品が個別に配置されていました。しかし、eアクスルはこれらを一つのパッケージにまとめることで部品間の相性問題を解消し、効率的な動力伝達を可能にしています。

また、システム全体のサイズと重量を大幅に削減できるため、車両設計の自由度が向上し、省スペース化にも貢献します。

さらに、eアクスルは多様な車種に対応可能で、コンパクトカーから大型SUV、スポーツカーまで幅広く適用可能です。出力や仕様に応じて異なるバリエーションが用意されており、車両の特性や用途に合わせて選択できます。
 

eAxle(eアクスル)の主な部品と役割

eAxle(eアクスル)は、主に3つの重要な部品から構成されており、それぞれが独自の役割を果たしています。

  • モーター:電気エネルギーを機械的な回転力に変換し、車両を駆動
  • インバーター:モーターの回転数や出力を精密に制御
  • 減速機(ギア):モーターの高速回転を適切な速度に落とし、タイヤに伝達

これらの部品を一体化することで、eアクスルは従来のパワートレインに比べて大幅な小型化と軽量化を実現しています。

近年では、冷却システムの統合も進んでおり、モーターやインバーターの発熱を効果的に管理する(熱マネジメント)ことで、高い性能と信頼性を両立しています。

また、一部のメーカーでは、磁石を使用しない誘導モーターを採用したeアクスルの開発も進められており、レアアース依存度の低減とコスト削減が期待されています。
 

モーターの役割

eアクスルにおけるモーターは、電気自動車(EV)の心臓部とも言える重要な構成要素です。その主な役割は、バッテリーからの電力を機械的な回転力に変換し、車両を駆動することです。この過程で、モーターは高効率なエネルギー変換を実現し、EVの性能と走行距離に大きな影響を与えます。

現在は、永久磁石型同期モーターが主流で、高効率かつコンパクトな設計に適しています。永久磁石の使用により、モーターの効率が向上し、同時に小型軽量化も可能です。これにより、車両全体の重量削減にも貢献し、結果として走行距離の延長にもつながっています。

モーターの出力は、車両のサイズや用途に応じて適切に調整されます。例えば、コンパクトカーから大型SUV、さらにはスポーツカーまで、様々な車種に対応できるよう、異なる出力のモーターが開発されています。これにより、各車両の特性や性能要求に合わせた最適な駆動力を提供することが可能となっています。

興味深いことに、一部のメーカーでは永久磁石を使用しない誘導モーターを採用したeアクスルの開発も進められています。この技術は、レアアース依存度の低減とコスト削減を目指しており、将来的なeアクスルの進化の一端を担う可能性があるでしょう。
 

インバーターの役割

eアクスルにおいて、インバーターは電気自動車(EV)の頭脳とも言える重要な部品です。その主な役割は、バッテリーから供給される直流電流を交流電流に変換し、モーターを精密に制御することです。この変換プロセスは、EVの効率的な走行と性能最適化に不可欠です。

インバーターは、ドライバーのアクセル操作に応じてモーターの出力を瞬時に調整します。アクセルを踏み込むと、インバーターはバッテリーからの電力供給を増加させ、モーターの回転数を上げます。逆に、アクセルを緩めると電力供給を減少させ、モーターの回転数を下げます。この高度な制御により、スムーズな加速と減速が実現され、EVの走行性能が大幅に向上します。

最新のインバーターには、高速応答性を実現するための先進技術が導入されています。例えば、パワー半導体素子にSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などのワイドバンドギャップ半導体を採用することで、従来のシリコン半導体よりも高速スイッチングと低損失動作が可能になりました。

さらに、インバーターは回生ブレーキシステムの制御も担っています。減速時にモーターを発電機として機能させ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに充電します。この過程でもインバーターが重要な役割を果たし、エネルギー回収の効率を最大化します。
 

減速機(ギア)の役割

eアクスルにおける減速機の主な機能は、モーターからの高速回転を適切に減速し、車輪に効率的に伝達することです。これにより、EVの走行性能と効率性を最適化しています。

従来の内燃機関車のトランスミッションは、複雑な多段変速機が必要でしたが、EVのトランスミッションにあたる減速機(ギア)は比較的シンプルな構造となっています。多くの場合、単一のギア比を持つ減速機として機能し、これによりシステム全体の軽量化と省スペース化が実現されています。

eアクスルの設計において、減速機はモーターやインバーターと一体化されています。この統合アプローチにより、部品間の相性問題が解消され、効率的な動力伝達が可能になりました。さらに、この一体型設計は製造プロセスの簡素化にも貢献し、生産コストの削減にもつながっています。

最新のトレンドとして、一部のメーカーは多段トランスミッションとeアクスルの組み合わせを検討しています。これは、高速巡行時の効率向上や、より幅広い走行条件下での最適なパフォーマンス実現を目指すためです。
 

冷却機構の役割

eアクスルにおける冷却機構は、システム全体の性能と信頼性を維持する上で極めて重要な役割を果たしています。高出力のモーターとインバーターを内蔵するeアクスルは、動作中に大量の熱を発生させるため、効率的な冷却システムが不可欠です。

最新のeアクスルでは、主に液体冷却方式が採用されています。液体冷却は、内部の熱を効率的に除去し、システムの安定性を確保できます。また、液体冷却は空冷と比較して、より高い冷却効率を実現し、同時に静音性とコンパクトな設計を可能にします。

今後、eアクスルの冷却技術はさらなる進化が見込まれており、ナノ流体技術を用いた新しい冷却媒体の開発や、AIを活用した動的な冷却制御システムの導入など、革新的なアプローチが検討されています。
 

eAxle(eアクスル)が普及し始めた背景

eAxle(eアクスル)が自動車業界で注目を集め、普及し始めた背景には、複数の要因が絡み合っています。

世界的な環境意識の高まりと各国政府による厳しい排出ガス規制が、自動車メーカーに電動化への迅速な対応を迫ったため、eアクスルはこの流れを加速させる重要な技術として浮上しました。

技術革新と市場競争も、eアクスルの普及を後押ししています。自動車部品メーカーや電機メーカーなど、異業種からの参入も含めて開発競争が激化し、性能向上とコスト削減が急速に進んでいます。

このように、多様な要因が重なり合って、eアクスルは急速に普及し始めました。今後も電動化の進展とともに、eアクスルの重要性はさらに高まっていくことが予想されます。
 

環境規制とカーボンニュートラルの推進

世界的な環境意識の高まりを背景に、各国政府は2050年までのカーボンニュートラル達成を目指し、様々な施策を打ち出しています。この潮流の中で、自動車産業は大きな転換期を迎えており、電気自動車(EV)へのシフトが急速に進行中です。

こうした状況下で、eアクスルは電動車の効率化を促進し、環境負荷を低減する重要な技術として注目を集めています。従来の内燃機関車に比べて大幅な小型化と軽量化を実現できるため、車両全体の効率が向上し、走行時のエネルギー消費量を削減することができます。

また、各国で自動車の排出ガス規制が強化される中、内燃機関車から電動車への移行は避けられない流れとなっています。例えば、欧州連合(EU)は2035年以降、新車販売を実質的にゼロエミッション車に限定する方針を打ち出しました。

このような厳しい規制に対応するため、自動車メーカーはEVの開発と生産を加速させており、eアクスルの採用はその重要な戦略の一つとなっています。
 

技術革新とサプライヤーの競争

eアクスル市場は、急速な成長と激しい競争の渦中にあります。その結果、サプライヤー間での開発競争が激化し、より高性能で効率的なeアクスルの開発が日々続けられています。

この競争は、単なる性能向上だけでなく、製造プロセスの効率化や新たな付加価値の創出にまで及んでいます。

最新のトレンドとして「Xin1」と呼ばれる統合技術が注目を集めています。これは、従来の「3in1」(モーター、インバーター、減速機の一体化)からさらに進化し、電圧変換機や車載用充電回路(OBC)などの周辺部品も組み込む技術です。

また、高出力化も重要なトレンドの一つです。現在主流の400V駆動から800V駆動への移行が進んでおり、多くのサプライヤーが2026年以降の次期EVモデルでの採用を目指して開発を競っています。

eアクスルの普及は、自動車メーカーとサプライヤーの関係性にも変化をもたらしています。

従来、自動車メーカーは駆動系の主要部品を個別に調達し、自社で組み立てていましたが、eアクスルの採用により、完成したユニットをサプライヤーから調達することが可能になりました。これにより、開発期間の短縮やコスト削減が実現し、自動車メーカーは他の革新的技術の開発にリソースを集中させることができるようになっています。
 

EVシフトの加速

電気自動車(EV)市場は、世界的な環境意識の高まりと各国政府の積極的な政策支援を背景に、急速な拡大を続けています。

2023年には、バッテリー電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)を合わせたEVの新車販売台数が、世界で約1,380万台に達し、新車販売全体の約18%を占めるまでに成長しました。この急激な市場拡大に伴い、EVの基幹部品であるeアクスルの需要も飛躍的に増大しています。

実際に、eアクスルはコンパクトカーから高級車、さらにはSUVに至るまで、多様な車種に対応可能な製品が開発されています。

各メーカーは、市場の多様なニーズに応えるべく独自の技術開発を進めており、さらなる小型化と効率向上が実現されつつあります。

出典:JETRO「2023年の世界のEV販売台数は35%増の1,380万台、IEA見通し」
 

eAxle(eアクスル)のメリット

eAxle(eアクスル)は、モーター、インバーター、減速機(ギア)を一体化することで、従来の駆動システムに比べて多くのメリットをもたらします。

主なメリットには、以下が挙げられます。

  • 生産コストの削減
  • エネルギー効率の向上
  • 小型化によるスペースの最適化
  • メンテナンスが容易
  • 車両性能の向上

このように、eアクスルは単なる部品の統合にとどまらず、EVの性能向上、生産効率化、環境負荷低減など、幅広い影響を及ぼす革新的な技術といえるでしょう。

今後、さらなる技術革新と普及が進むことで、自動車産業のグリーン化と電動化が一層加速することが期待されます。
 

生産コストの削減

eアクスルは、従来別々に製造・組み立てされていたモーター、インバーター、減速機を一体化することで、製造工程を大幅に簡素化しました。

この統合アプローチにより、部品点数が劇的に減少し、それに伴って製造コストも大きく削減されています。例えば、高電圧ケーブルの使用量が減ることで、材料費の削減だけでなく、組立工程の簡略化にもつながっています。

さらに、一体化された設計により、各部品間の相性問題も解消され、開発段階での試行錯誤も減少しました。

生産効率の向上も、eアクスル採用の重要なメリットです。一体型ユニットとして製造することで、従来の個別部品の製造と比較して、生産ラインの効率化が図れます。これにより、生産時間の短縮と人件費の削減が可能となり、結果として製造コストの低減に寄与しています。
 

エネルギー効率の向上

eアクスルの優れたエネルギー効率は、主に以下の3つの要因から生まれています。

  • モーター、インバーター、減速機の一体化によるエネルギー伝達ロスの最小化
  • 最新の材料技術を駆使した高性能な絶縁材や放熱材の採用による熱損失の低減
  • 先進的な制御技術による走行状況に応じた最適なエネルギー配分

この高いエネルギー効率は、EVの走行距離延長に寄与します。これは、ユーザーにとって充電頻度の低下やより長距離の移動を可能にするという大きなメリットをもたらします。

また、エネルギー効率の向上は、EVの運用コスト削減にも繋がります。電力消費量が抑えられることで、充電にかかる費用が低減されるでしょう。

長期的な視点で見ると、車両の総所有コストの低下に繋がります。これは、個人ユーザーだけでなく、大規模な車両フリートを運用する企業にとっても魅力的なポイントとなっています。
 

小型化によるスペースの最適化

従来の内燃機関車と比較して、eアクスルは驚くほどコンパクトな駆動ユニットを実現しました。この小型化がもたらす最大の利点は、車両設計における自由度の大幅な向上です。

フロントオーバーハングを短くしたスポーティなデザインや、空力性能を極限まで高めた未来的なフォルムなど、これまでにない斬新な車両デザインが可能になるでしょう。

さらに、eアクスルの小型化は車内空間の拡大にも直結します。従来のエンジンルームやトランスミッショントンネルが不要になることで、乗員スペースやラゲッジルームを大幅に拡張できます。これは特に小型車において顕著で、コンパクトカーでもミドルクラスに匹敵する室内空間を確保できる可能性があります。

軽量化も見逃せないメリットです。eアクスルの小型化は必然的に重量削減につながり、EVの課題である走行距離の延長に繋がります。また、軽量化は車両の運動性能向上にも寄与し、より俊敏で楽しい走りを実現できるでしょう。
 

メンテナンスが容易

eアクスルは、メンテナンス面でも大きなメリットがあります。従来の内燃機関車と比較して、eアクスルは可動部品が大幅に少ないため、メンテナンスが非常に容易になりました。

まず、eアクスルの構造自体がシンプルであることが、メンテナンスの容易さにつながっています。モーター、インバーター、減速機が一体化されているため、これらの部品を個別に点検・修理する必要がありません。この統合されたデザインにより、潜在的な故障ポイントが減少し、全体的な信頼性が向上しています。

また、eアクスルは電気駆動であるため、従来のエンジンに比べて摩耗や劣化が少ないです。オイル交換やベルト交換などの定期的なメンテナンスが不要になり、長期的な運用コストを大幅に抑えることができます。

さらに、eアクスルのメンテナンス時間も短縮できます。部品が一体化されているため、診断や修理のプロセスが簡素化できるためです。例えば、従来のシステムでは複数の部品を個別に点検する必要がありましたが、eアクスルでは一つのユニットとして扱えるため、全体的な点検時間を短縮することができます。
 

車両性能の向上

eアクスルは統合設計により、各部品間のエネルギー損失が最小限に抑えられ、モーターの出力が直接的に車輪に伝達されます。その結果、瞬時の加速レスポンスと力強い加速性能が得られ、従来のガソリン車を超える走行性能を実現しています。

さらに、eアクスルの一体化技術は、車両の運転安定性も大幅に向上させています。重心が低く、コンパクトな設計により、車体のバランスが最適化され、コーナリング時の安定性が増しています。これにより、ドライバーは高速走行時でも安心して運転を楽しむことができるでしょう。

eアクスルに搭載される先進的な制御技術も、走行中の反応性を著しく改善しています。例えば、トルクベクタリング技術を用いることで、コーナリング時に左右の車輪に適切なトルクを配分し、より精密な操縦性を実現しています。

また、路面状況に応じて瞬時にトルクを調整する機能により、雨天時や雪道などの悪条件下でも安定した走行が可能になっています。
 

eAxle(eアクスル)が抱える現状の課題・問題点

eAxle(eアクスル)は、電気自動車の普及に伴い急速に注目を集めている革新的な駆動システムですが、その発展には依然としていくつかの課題が存在します。

主な課題や問題点として、以下が挙げられます。

  • 技術面での課題
  • 価格競争の激化
  • 開発競争の激化
  • 市場ニーズの変動

これらの課題を克服するためには、産学官の連携強化や、国際的な協調体制の構築が不可欠です。

eアクスルの進化は、EVの普及と持続可能なモビリティ社会の実現に直結する重要な課題であり、業界全体での取り組みが期待されています。
 

技術面での課題

まず、高温環境下での性能維持が大きな課題となっています。eアクスルは、モーター、インバーター、減速機を一体化したコンパクトな構造を持つため、使用時に発生する熱が集中しやすい傾向にあります。

特に、高出力モデルや連続使用時には、内部温度が急激に上昇し、性能低下や部品の劣化を引き起こす可能性があります。この問題に対処するため、効率的な冷却システムの開発が急務です。

また、小型化と軽量化は、EVの走行距離延長や車両設計の自由度向上のために重要な要件ですが、これらの要求は熱管理をより困難にしています。部品を密集させることで熱の逃げ場が少なくなり、従来の冷却方法では対応が難しくなるためです。この課題に対して、新素材の採用や革新的な冷却技術の開発が進められています。

さらに、各部品の統合によって複雑性が増すため、製造プロセスにも大きく影響します。従来は個別に製造・組立てされていた部品を一体化することによって、高度な精度と品質管理が要求されるようになりました。この複雑性は、生産ラインの設計や品質保証プロセスの見直しを必要とし、製造コストの上昇につながる可能性があります。
 

価格競争の激化

eアクスル市場は急速な成長を遂げる一方で、激しい価格競争の渦中にあります。特に中国市場では、地場メーカーの台頭により価格競争が熾烈化し、グローバルサプライヤーにとって大きな課題となっています。

この価格競争の背景には、中国企業による積極的な技術革新と生産能力の拡大があります。

彼らは「Xin1」と呼ばれる統合技術を推進し、従来の「3in1」(モーター、インバーター、減速機の一体化)からさらに進化させ、DC-DCコンバーターやオンボードチャージャー(OBC)なども組み込んだ「7in1」や「8in1」のeアクスルを開発中です。この高度な統合により、コスト削減と性能向上を同時に実現し、競争力を高めています。

一方、日本や欧米のサプライヤーは、この価格競争に巻き込まれることで利益率の低下に直面しています。このような状況下で、多くのサプライヤーは次世代機開発への投資に慎重にならざるを得ず、長期的な競争力維持に懸念が生じています。

しかし、単純な価格競争だけでは持続的な成長は難しいと認識されつつあり、コストダウンを追求しつつ、新たな付加価値の創出が求められています。
 

開発競争の激化

eアクスル市場は、EVの急速な普及に伴い、熾烈な開発競争の舞台となっています。この競争は、従来の自動車部品メーカーだけでなく、新興企業や異業種からの参入者も巻き込んだ、グローバルな様相を呈しています。

中国市場では、地場メーカーの台頭により技術革新のスピードが一段と加速中です。彼らは短期間でのEV開発を可能にするため、既存のeアクスルを迅速に改良し、市場投入するアプローチを取っています。この戦略により、開発期間の短縮と市場ニーズへの迅速な対応を実現しています。

一方、日本のメーカーも独自の戦略で競争力強化を図っています。デンソーとアイシンの協業によるBluE Nexusの設立や、日立AstemoによるホンダおよびNissan向けeアクスルの供給など、系列を超えた連携が進んでいます。これらの動きは、技術力の結集と開発リソースの効率的な配分を目指したものと言えるでしょう。
 

市場ニーズの変動

eアクスル市場は急成長していますが、その需要は地域によって大きく異なり、メーカーにとって市場ニーズの変化への対応が重要な課題です。

北米市場では、大型SUVや電動ピックアップトラックの人気が高まっており、高出力・高トルクのeアクスルへの需要が増加しています。一方、欧州では都市部での使用を想定したコンパクトEVが主流であり、小型で効率的なeアクスルが求められています。

このように、地域ごとの車両特性や消費者嗜好の違いが、eアクスル市場に大きな影響を与えています。

中国市場は世界最大のEV市場として急速に拡大していますが、同時に激しい価格競争の舞台です。地場メーカーの台頭により、高性能かつ低価格なeアクスルの開発が加速しており、グローバルメーカーにとって大きな脅威となっています。

このような市場変動に対応するため、メーカーは柔軟な生産体制と製品ラインナップの構築が求められており、長期的な市場予測と戦略的計画の重要性も増しています。

EVの普及速度や技術革新のスピードが予想を上回るケースも多く、市場動向を的確に捉え、迅速に対応する能力が競争力のポイントになるでしょう。
 

eAxle(eアクスル)がもたらす新たなビジネスの可能性

eAxle(eアクスル)関連市場は、自動車産業全体に「新たなビジネスチャンス」をもたらす可能性を秘めています。

まず、eアクスル関連部品市場が新たな収益源として注目を集めています。従来の自動車部品メーカーだけでなく、電機部品メーカーや新興企業までもが、この成長市場への参入を狙っています。例えば、モーターやインバーターの専門メーカーが、eアクスル向けの高性能部品開発に注力するケースが増えています。

これにより、業界全体の技術革新が加速し、より効率的で高性能なeアクスルの実現につながるでしょう。

さらに、eアクスルの進化は、新たなサービス産業の創出にもつながる可能性があります。

IoTやAI技術との連携により、eアクスルの性能データをリアルタイムで収集・分析することが可能になります。これを活用した予防保全サービスや、運転効率化のためのコンサルティングサービスなど、データ駆動型の新ビジネスモデルが生まれつつあります。

 

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